昨夜は、歌の依頼があり、某スキーヤーの納会に出席しました。
「ル・コール・ダルジャン会歌」のお披露目ということとは聞いていました。
ところが、前日、医者が処方した合わない薬による薬負けで、私は寝込んでいました。上半身の皮膚の摩擦痛は和らいだものの、両足が万力で潰されるような痛みが出てきて、鎮痛剤を飲んでも良くならず、歌の練習はまったくできませんでした。
二日前に、たまたま歌える状態の時があって、そのときに録音した自分の歌唱をMP3プレーヤーに入れて、床で寝ながら聴くのが精一杯の練習でした。
当日、やはり体調が思わしくなく、依頼者から電話があったときは、「今日はコンディションが非常に悪いので、ノーギャラでやります」と言わざるを得ませんでした。そのときは、かなり心配を掛けてしまいました。
そして本番、プログラムを見ると「ル・コールダルジャンの歌練習」と書いてあります。どうやら、私がお手本を歌い、私が会場の方々に歌を教えるというものなようです。そんな話は打合せでぜんぜん聞いていないので、頭が真っ白になりました。
まず始めに、私が模範唱を歌いました。思うように声が出ません。マイク無しで歌ったことを後悔しました。苦しみながら、どうにか歌い、今度は、歌を4つに分けて、くり返す歌う指導を試みました。迷ってしまったらいけないと思い、ダメでもともとで自分のペースでやりました。完全なるアドリブです。
ところが皆さんの声を聞くと、不思議な勇気がもらえて、かなり無謀な発声ではありましたが、自分でも信じられないような大きな声が出ました。こんな無謀な歌い方はしたことがなかったのですが、気力だけで、最後までそのテンションで歌いきりました。
とても良かったよと会長さんから、今日のギャラを手渡されました。
懇親会に入ると、多くの人からねぎらいの声を掛けられました。以前、同じ曲を歌わされた時は、まったく歌えなかったけど、今日は、あなたの声に合わせて不思議と歌えたと言ってくださる方もいました。
名刺は持っていませんでしたが、書道塾のパンフレットを何分か持っていたので名刺代わりにしました。私に歌を習いたいという人もいました。塾に興味を示してくださった方もいて、バックミュージックで子どもたちに「集中力」や「注意力」を与えられることに大変興味を示してくださり、私の指導プログラムをお金を払っても習いたいと言ってくださる方もおりました。
カラオケ大会が始まり、嫌な予感がしました。私に歌って欲しいと会場の方々から声が掛かり、私は「千の風になって」を歌うことにしました。
ところが、声帯がほとんど死んでいて声が出ません。まずいと思ったのですが、マイクを握ると不思議な力が湧いてきて、今まで使ったことのない未知の領域が見えてきました。そこに声を当てると、面白いほど声が出るのに私自身も驚きました。特に高音がズバズバ出るのです。
ビートルズのメンバーの一人でロック歌手のポール・マッカートニーさんが、ライブで、はじめから超ハイテンションで歌い、声帯がボロボロなはずなのに、長時間ライブの終わりまでハイテンションで歌い切ったイメージを思い浮かべていました。声帯がボロボロでも、ある領域に声をぶつけると大きな声が出る。今までやったことは無いけど、当って砕けろ…
また、高橋洋子先生のレッスンも頭をよぎりました。歌声でメビウスの輪を作って会場を満たすのだと…
歌い終えると、アンコールの嵐となり、2曲目にはアンディ・ウィリアムスの「慕情」を歌いました。ラストは、オペラチックに高音で決めました。自分でも声が出たことが不思議でした。
ということで、私の歌で会場を大いに盛り上げることができました。自分としては、120パーセントといより、200パーセント以上の力を出したような気がしました。
短い時間の中、私はこんなことも思い浮かべていました。20年ほど前に、東京の教会のミサで聞いた説教です。
癌で余命半年の女性がいて、彼女は、クリスチャンゆえ、それを前向きに受け止め、残り少ない人生を神様に感謝を込めて笑顔で過ごそうと決めたのだそうです。
その方が、そのミサの前日に亡くなったとのこと。しかも7年も生きたとのことでした。半年でなくなる筈なのに7年も生きたということは、6年と半年は、神様に頂いたプレゼントのような時間ということになります。多くの人が、神様を感じることなく生きているのに、彼女は、まさに神と共に生き、彼女を支えた家族も、多くの恵が得られたのだそうです。
もう自分はダメだと思えるとき、神と共に生きられる。神に委ねてしまえば何とかなる。私はそう考えることにしました。
体調が最悪で、大失敗に終わる筈の歌の依頼が、まったく逆の大成功となったのは、神と共に作り出した奇跡だったように思います。自分が自分でないような感じがしました。
とにかく疲れました。今日は、仕事ができそうないので、書道塾の方は母に任せてゆっくり休むことにします。
posted by 盛岡のしろねこ / 佐藤 潤 at 05:58|
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